導入事例
ご依頼者様がかつてお仕えした『社長』を振り返り、教えやエピソードを一冊にまとめられた本です。
弊サービスライターが複数回取材に赴き、執筆とAmazon出版をプロデュースしました。
表題の『社長』は郷土の戦後復興に功績のある人物で、ご依頼者様が出版を思い立ったのは「お側仕えした者として、忘れられつつある功労者の言動を記録し、現代の若者に伝えることは責務」とお感じになられたためです。
ご依頼者様にとって本書は、社長へのかわらぬ憧憬であり、同時に郷土への社会貢献なのです。
実を言うと、本書は「長編原稿+」ライターである私の自著です。受注実績は多数あるのですが、どれも守秘義務で公開できません。もっとも、本書の作成過程は一般受注の場合と変わりなく、事例として不適切ではないと考え、掲載しました。
本書の取り上げる噺家には自著も評伝もありません。そこでファンの私が一肌脱ぎ、情報を集めて整理し、自分の解釈を盛り込んでAmazon出版しました。
その後、購入いただいた同好の方と文通がはじまりました。別途印刷して名刺代わりに配布し、自己紹介にインパクトを添えるツールにしています。自著のあるおかげで人間関係が質量ともに拡大しています。
ご依頼主個人の体験や気持ちを、ご本人に成り代わり執筆するのが個人史制作です。
Bさんは20代のころ、趣味である登山のためにカナダ・カルガリーを訪れました。念願だったロッキー登頂。しかし、Bさんは下山途中遭難。減ってゆく食料。次々と斃れてゆく仲間たち。地元警察に救助されるまでの3日間、極限状態を生き抜きました。
帰国後、普通のサラリーマンとして平凡な人生を送っていましたが、50歳の誕生日を過ぎた頃から、今までの自分の人生を再確認したいという気持ちに駆られはじめました。そこで思い出すのがロッキーでの命がけの3日間。あの時自分の味わったこと、感じたことを、人生の記念碑として残したい。そして時折思い返しては今後の人生の糧としたい。その願いが、記憶を小説として残したいという考えに結びつかれたようです。
最初は自分で執筆しようかと考えておられましたが、自分の文章力のつたなさに断念。そのころ偶然「長編原稿+」の存在を知り「自分の体験とはいうものの、第三者の視点から綴られる自分の歴史も読んでみたい」と思い、ご依頼を決心されたそうです。
ご依頼主とは別の人物の伝記、あるいは組織の歴史を執筆します。
K商事は創業40年。とはいえ従業員8人の小さな町工場です。社長のKさんは65歳。18歳より父から引き継いだ事業を守り抜いてきましたが、そろそろ身体も軋みはじめ、専務である息子に跡を継がせようと考え始めました。しかし、社内はアットホームが行き過ぎ、生ぬるい風土に陥っています。どんなに厳かに社長交替を宣言しても、従業員の気が引き締まるとは思えません。このまま引退したら、きっと会社は傾く。そう考えたKさんは、会社に何かシンボリックなものをつくろう、その譲渡式を行って社長交替を宣言しようと思い立ちました。
シンボリックなものとして、旗や看板、バッヂなど、様々な発想がありましたが、他所にあまりないもので、創業40年の歴史、創業者の功績の伝わるものがいいと考えたKさん。検討の末、会社の歴史を小説にすることにしました。データベース的な社史はどこの会社に行ってもあるものです。しかし、物語になっているところはあまりありません。これならいいだろうとようやく決心したKさん。その執筆を、知人の勧めで「長編原稿+」に任せることにしました。
インタビューシートをまとめ、写真を整理しているうちに、Kさんの中で、創業者である父の存在、40年つづく会社への愛着がどんどん増していったようです。半年以上かけて小説が完成したころ、「70歳まで頑張る」と宣言し、引退を撤回されました。
現在のところ、小説の譲渡式は行われておりません。しかし、ちゃんと会社の応接間に置かれています。たまに来客が手に取り「面白い本を作られましたね」とお言葉をいただくそうです。